100円ショップの“すのこ”をバラして網戸を作ってみた


みなさまご無沙汰しております。前回の記事から約3週間ほど空いてしまいましたが、この間普段のスローライフから一転、本業のお仕事方面でドタバタしていたり、10月といえど冬を先取りしたような山の気候に対応するため急ピッチでストーブを自作していたりと慌ただしい日々を過ごしておりました。リアルタイムでは初霜がいつ降りてもおかしくない室内ダウンジャケット必須の11月直前ですが、今回から季節を再び夏に戻し、暮らしのためのモノづくりの日々を改めてご紹介していきます。


前置きが長くなりましたが今回は網戸作りのお話です。この家に移住してきた際、ただ家だけがある状態だった我が家には、これまでの人生で備え付けが当たり前だと思っていた網戸すら付いていませんでした。山奥の避暑地としての別荘物件ですので、夏はさわやかな風が吹き渡り、フレッシュでうまい空気を吸い込み放題なわけですが、網戸がなければそんなうまい空気に混ざって今までにみたこともないような虫さん達まで部屋に入ってきてしまうので、しばらくの間窓を開けたくても開けられない悶々とした日々を過ごしていました。

どれだけ天気が良くても換気ができないというのは強烈なストレスです。自然豊かな環境で暮らせてもそんな外部と窓ガラスで遮断された生活は、息苦しい部屋の中で美しい景色をPCモニター越しに見ているようなものです。まずは網戸を導入する事。それがその当時計画していたモノづくりの中で最優先事項となりました。

いろいろ調べてみてわかったのは、網戸(アルミサッシ)は思っていたよりかなり高額なプロダクトだったということ。実家はもちろんこれまで住んできた賃貸物件には当たり前のように網戸はあったので、そもそも網戸を買うという発想すらなかったのですが、背丈ほどあるような大きな窓サイズだと1万円近く、洗面所にあるような比較的小さなサイズでも一枚5千円ほどします。日当たりの良い我が家には有難いことにたくさんの窓があり、大小合わせると全17枚分の網戸が必要になります。その中には規格外の珍しい大きさの窓もあり、全てをオーダーすると軽く10万円以上する事がわかりました。

たかが網戸、されど網戸
あって当然だと思っていた網戸は買うとこんなにするものなのか…。 それならばいっそ作ってしまうか!と思いつつもホームセンター等で改めて実物を見てみるとミリ単位の精密なフレームにスライド機構、そして未開のアルミ素材…。到底今のスキルで自作は無理だと思い知らされました。ならば普段頻繁に開け閉めする大きな網戸は購入し、サイズが小さく開閉なしのハメコミでいけるところは自作してみたらどうかということになり、リアル店舗より安いネットで普段メインとして使用する網戸分を注文、残りは自作することにしました。



まずはいろいろ考察してみた


どんなモノをどんな風に作るか具体的な案がなかなかまとまらない状態がしばらく続きましたが、窓枠を改めて観察してみると一番外側に10mmほどの隙間がある事に気付きました。この部分、上面には返しがあり10mm以下の板が入れば外れにくいのですが、下面はフラットで手で引いたり押したりすると簡単に外れてしまいそうな機構。しかし隙間テープなどを使えばぴったり固定できるだろうと判断し、ここに入るサイズの網戸を作ることにしました。





厚さ10mm以下の板。できればアルミのような金属がよかったのですが、金属加工できる道具もスキルも持ち合わせていなかったので木板でこの条件のものを探していると、100円ショップであるモノが目に留まりました。

それは、すのこ。このサイズ感、この厚み…。普段から持ち歩いているスケールをポケットから取り出し、計測してみると厚さ約7mm。…いける!! バラせばちょうど脱衣所の網戸が作れるかも!と、張り替え用のアミ隙間テープとともに購入しました。また今回、風呂場とトイレ用の網戸も制作する予定だったので、こちらはホームセンターで別途角材を購入しました。





制作開始


ということでまずはノミと金槌を使ってすのこをバラしていきます。厚さが7mmしかないので折れてしまわないように慎重に作業を進めていきます。




固定していた虫ピンのような極細の釘も取り外してバラシ完了。





脱衣所の窓枠のサイズを測ってみると、なんと縦幅が足りないという致命的な落とし穴が発覚。





風呂場とトイレ用の角材をホームセンターで買ってあったので、今一度採寸してみることに。結果、余りが出ることがわかったので、そこから足りない部分を一部拝借。厚みや幅に微妙な違いがありましたが、スライドしない完全固定のハメコミ式になるので、とりあえずこのまま強行。




7mm厚の木片同士をひび割れさせずネジや釘で固定させるスキルがなく、完成後は固定で動かさないという前提からタッカーで留めることに。裏面、表面、側面とタッカーで打てるところは可能な限り打ち込み、固定。木自体が軽い事と、サイズも小さいという事もあって、思っていた以上に頑丈なフレームが出来上がりました。タッカー使える!




組み上がったフレームに屋外用の木部保護塗料で塗装。ささやかな雨&湿気対策。




乾燥後、フレームサイズに切ったアミを再びタッカーで留めていき、




アミ張り作業完成。ほぉ…思っていた以上に網戸っぽい!そしてウォールナットな色合いからか想定外のアンティーク感も出て、元がすのこだったとは思えません!





窓枠の網戸設置予定スペースにフィットするようにフレーム上面に隙間テープを貼り付けます。





また室内側にあたる面のフレーム左側にも隙間テープを貼って完成。理由は後述します。





設置してみた


実際に取り付けてみることに。フレーム上面に貼り付けた隙間テープの弾力のおかげでサイズはバッチリ。見事なまでのパーフェクトフィットです。見た目的にもこのハンドメイド感が個人的にそそります。8月後半の取り付け後、リアルタイムの10月末現在まで数回の台風で大荒れの天候を経験しましたが今のところ全く問題ありません。




室内側のフレーム左側に貼った隙間テープはちょうど矢印の部分に当たります。ここは網戸と窓ガラスの間に構造上隙間が空いてしまう場所なので塞いでおかないと虫さんが自由に入ってきてしまうのです。よく見ると市販されている一般の網戸にも付いています。もっとも本来の網戸用のレールはもっと内側についているので、こんなに大きな隙間は空きませんが。





脱衣場の網戸が完成したところで同様の手順でお風呂場の網戸も制作しました。こちらはホームセンターで売っている9mm厚の角材を使用しています。





またトイレ用の網戸は相方さんのアイデアで5mm厚という超薄角材でアミをサンドイッチする方法で制作しました。





こちらも強度的には脱衣場同様、設置後2ヶ月経過した今現在も問題なく使えています。





このサンドイッチ方式の最大のメリットは内側から見ても美しいこと(左)。
片面のみの作りだと、裏面が切りっぱなしのアミとタッカーの芯が丸見え(右)です。
普段あまり目に留まらないような場所に自作網戸を設置するということだったので、まぁいいやと思っていましたが、プロダクト的に見ると多少の手間とコストをかけてでも全てサンドイッチ方式で作ればと後になって思ってしまいました。今現在は大丈夫ですが、作り的には本当に簡素なものなので、近い将来その時が訪れ際にはこの辺りもっと丁寧に作ってみようと思います。





おまけ


脱衣場の横に洗面所があり、そこに二つの窓があるのですが、ここには相方さんのご実家から頂いた大型の網戸を横倒しにしてひっかけてあります。元々、南側テラスにある大きな窓用の網戸を探している際、相方さんのご実家で今は使っていないこの網戸があったので取り付けてみたところ、微妙にサイズが違ったので止むを得ず放置してあったのですが、“もしかしたらとダメもとでひっかけてみたら写真のような奇跡が起きたわけです。

網戸面は窓枠に見事に吸着するようにフィットしていて隙間がなく、構造上ぶら下がっているだけなのに絶妙なバランスで引っかかっており簡単には外れません。(さすがに台風の日は下ろしておきましたがそれ以外は全く問題ありません。)

まぁ不格好といえば不格好ですが、家裏面で目の前には山しかありませんし、機能的に役割を果たしているのでこれで十分。2枚分作らずに済みましたし(ニヤリ






網戸がない状態をしばらく経験し、その有難さを痛感した上での制作だったので、窓を開けられる、風を通せるという普段考えたこともない幸せを実感できたのが今回の大きな収穫でした。

“当たり前と思うなその網戸

普段何気なくそこに存在している網戸さん。年末にはまだ早いですが、たまには感謝も込めて掃除でもしてあげようかな!


(本文おわり)



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